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そごう9店が閉鎖に至った理由

◆そごう9店が閉鎖に至った理由
                           特別顧問 和田 繁明

 11月2日の経営協議会での説明を中心に、9店が閉鎖に至った理由を述べます。存続・閉鎖の審査基準は「速報」8号に挙げた5点です。二次破綻が生じない継続的な安定利益の確保のために、将来性を含めた総合的事業収益力を見極めようと、弁護士、公認会計士、ミレニアム企画、そごうの4者によるチームが各店の現地調査と、膨大なデータを分析検討し、客観的・科学的な結論として再生計画案にしました。
 全体的に言えるのは、(1)景気・経済が右肩下がりの環境にもかかわらず、過大な設備投資を重ねた結果、財務を圧迫、(2)商品力、販売力の強化による利潤追求ではなく、利益を薄くする手法の外商、値引き販売に頼った売り上げ至上主義、(3)その結果、収益構造が悪化を続け、営業リストラ、すなわち利益を上げられない店舗は閉鎖し、存続店舗は効率性の高い営業体質にして再出発するーということでした。
 閉鎖店舗と存続店舗を経営数値で比較してみれば、理解いただけるでしょう(詳細な数字は、紙面の都合上控えますが、経協で詳しく説明しました)。
 たとえば、売上総利益率(平成11年度=以下同じ)は、存続店平均24.8%ー閉鎖店22.4%/売上高対販売管理費率は存続店平均22.4%ー閉鎖店平均23.5%/営業利益は存続店1店舗当たり14億円に対して閉鎖店は1600万円の赤字。経常利益も存続店平均1店当たりは6億円ですが、閉鎖店は7億円の赤字です。
 経協で質問のあった個別店舗について説明します。
閉鎖店のなかで唯一、利益計上していたのは黒崎そごうです。しかし、売上高は平成2年度をピークに減少が続き、12年度はその半分以下になる見込みです。それなのに黒字を維持してこられたのは経費削減効果で、努力が認められますが、目一杯やってきて限界に達しています。12年度は大幅な赤字になるでしょう。
将来要素はどうか。基幹産業の衰退によるマーケットの縮小や、競合店の進出、店舗の老朽化による維持・改修費の増大などで、再生債権を弁済する財務力はないと判断されました。
では、同じ規模の売り上げである西神そごうは、なぜ残るのかと言うと、マーケットの潜在的可能性が高く、行政主導の総合都市開発による店舗であることから、成長性に期待できるからです。
数字的には赤字の現状です。しかし、上記の背景に加えて坪当たり生産性の高さ、マーチャンダイジングの見直しによる効率化や固定費などのコスト削減が可能であり、今後の設備投資も少なくて済むなどの理由で存続とされました。
小倉そごうも毎期赤字の連続です。好立地で来客数が多いにもかかわらず、開店時の過大な投資がいまだに重荷になっており、競合店や博多の集客力との戦いで将来性が懸念されました。
そのうえ、外商比率が高い割に1人当たりの売上高が低く、坪当たり生産性も低い。また、特招会、店外催事が多く利益圧迫要因になるなど、そごうの営業体質の悪さの一典型です。
したがって、その他の要素を含め、改善を重ね、経営数値を積み上げても弁済原資をまかなうキャッシュフローは生み出せない、と判断されました。
 奈良そごうは、立地や過剰投資などによる経常的な赤字体質、札幌そごうは当面に営業利益を確保できても建物老朽化への設備投資や金利負担による経常赤字状態から脱し切れず、競合店進出など商圏の変化に対応できないとの判定でした。
(2000年11月9日発行/新生「そごう」のために No.9より抜粋)


◆そごう存続店・閉鎖店の背景
                            顧問 米谷   浩

 再建計画においては、継続的な安定利益の確保が何よりも求められている。債権者に多額の債権放棄をお願いすることとなる以上、利益が確保できる存続店舗を見極め、存続不可能な店舗については閉鎖をし、法的な手続きに従って清算するということにならざるを得ない。存続店舗においては、何年かに分けて債務の弁済を求められることとなる。したがって、2次ロスを発生させないというスタンスと継続的な安定利益が確保できる店であるかどうかという点が存続店舗の見極めになった。
 そこで、検討した結果、既存の収益店舗10店の中で横浜、千葉、神戸、広島、大宮、八王子、柏、徳島、呉そごうの9店舗については弱体化の要因を改善することで、継続的に安定した利益を確保できると考え存続させることにした。
99年までは収益店舗であったが、本年度赤字化に転落する黒崎そごうについては
(1)店舗の老朽化からくる(築21年)改善投資の必要性(投資額:5~10億円)、さらに耐震工事投資の必要性があり(投資約20億円)そのことを考慮すると、利益化の可能性は難しい。
(2)さらに、商圏内の基幹産業の衰退と2大都市圏、福岡、小倉の流出度が極めて高いことからマーケット自体が衰退してきており、将来の拡大が望めないこと。
(3)さらに来秋駅前に「コム黒崎(コムシティ)」(8000坪)の出現で新たな競合の軌道を考えると、減収減益に歯止めがかからず赤字転落は避けられないと考え、存続店より、はずさざるを得なくなった。
業績不振店舗については、業績不振要因を取り除けないかについて、店舗に赴き実査を行った。
(1)施設費の過大なものは家賃減額の試算をしたり、テナント導入による施設費負担の縮小化と利益の拡大化を計画しシミュレートしてみた。
(2)粗利益率の低さによるものについては、商品構成のバランス是正など、差益管理強化による年率アップ率を入れて試算し、可能性を追求した。
(3)人件費もすでにリストラされているが、さらに6~7%の削減を入れて試算した。
その結果、川口および西神そごうにおいては家賃の減額の可能性が見え、利益化の可能性が出てきたので、存続店舗に入れることにした。
 しかし、マーケットの成長性が期待できず、その上マーケットの競合条件が拡大される状況にあること。そして、マーケットサイズを見誤り、広域からの集客を見込んで、店舗に対して過大な投資をしたために、広大な施設設備からくる低生産性や固定費の負担は、どのような改善策を見込んでも改善は難しく、これからも継続して利益化のメドがつかない錦糸町、加古川、豊田、奈良、福山そごうの5店舗と、札幌そごうは、百貨店マーケットとしては、現在でも過剰な上に2003年に強力な新しい競合の出現が予測されるなかで、老朽化した店舗への改善投資(約20億円)、さらに競合に勝るための投資を考えると、利益化の可能性は難しく、百貨店としての運営は断念せざるを得なかった。
 そして、小倉そごうについては、マーケットもよく、立地も良好であるにもかかわらず、無理な開発からの過剰投資と非効率な区分所有物件であるために、営業努力では利益化できない構造から継続を断念せざるを得ないと判断した。
 これら継続的に利益を確保することが難しい7店舗については、不振要因を改善する可能性が現状ではないためそごうとしては残念ながら閉鎖することとし、再生計画の提出については見合わせることとした。
(2000年10月26日発行/全そごう労働組合機関誌 No.6より抜粋)


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