西日本新聞への投書
思い出をありがとう 永住美枝子
黒崎と小倉のそごうが、閉鎖になるというニュースがテレビで流れた。もし娘が元気でいたら、このニュースはだれよりも一番さみしがるのではないかと思った。
体の弱かった娘は、病院以外あまり外出することもなく、唯一そごうでの買い物が楽しみだった。一人で行けるわけでもなく、いつも私が一緒だった。そごうの中では書店、服売り場、アクセサリー売り場、CDショップとコースが決まっていた。買い物が終われば、紅茶とケーキを食べて体はくたくたになりながらも十分満足していた。
今も娘のクローゼットの中にはそでを通していないままの服などがいくつも並べられている。鏡台には真新しい口紅などがあり、引き出しを開けるだけで胸が詰まる。娘にとってのそごうは、心のやすらぎの場であったと思う。そごうがなくなるとさみしくなるけれど、最後に一言「娘とのたくさんの思い出をありがとう」といいたい。
(主婦・50歳=北九州市八幡西区)
西日本新聞 2000年11月28日夕刊「紅皿」欄より
西日本新聞社様「無断転載」をお許しください
どうしてもこのお客様の投書は残したかったので…
閉店間際、数々の新聞報道があった中、一番忘れられない記事…
永住さんの娘さんのためだけでも「黒崎そごう」が存在した意義はありました(T-T)
歳末風景(1987年)
正面玄関前のシンボルツリーに施されたクリスマスイルミネーション
歳末風景(1990年)
広告撮影用にオープン以来11年ぶりに点灯させたネオン下のアッパー照明
これが最後の点灯になりました
歳末風景(1997年頃・西日本銀行黒崎支店屋上より許可を得て撮影)
最初の折込広告(左・1979年)と最後の折込広告(右・2000年)のロゴマーク
(参考)西日本新聞が選んだ2000年の九州10大ニュース
●佐賀市の17歳少年が西鉄高速バス乗っ取り
●プロ野球福岡ダイエーホークスが2年連続のリーグ優勝
●九州新幹線鹿児島ルートの全線フル規格が決定
●福岡市で九州・沖縄サミット蔵相会合、宮崎市で外相会合開催
●シドニー五輪で田村亮子、井上康生選手ら九州出身者が活躍
●九州国立博物館の建物の基本設計が決まる
●北九州市の小倉そごう、黒崎そごう両店が閉店
●山口市の16歳少年が母親を金属バットで殺害
●熊本県知事選で、潮谷義子氏が全国2人目の女性知事に当選
●大分県野津町で一家6人が殺傷され、15歳の少年を逮捕